Now Playing Tracks

6/1 SFS_Leaks 3 せっとりすと

 1.Bring Em Out/T.I. 

2.Like That 3:16 Memphis Bleek

3.Uh Ooh (Remix)/Lumidee

4.No Letting Go/Wayne Wonder

5.Just Do It!/RHYMESTER

6.Find My Love/MIHIRO

7.baseballer/musashinoclan 

8.それでも言えない YOU&I/南波志穂

9.DEAR FUTURE/堀江由衣

10.Violet Phantom(堀江由衣&柚木涼香)/Innocent Elegy

11.E JUNK/美崎しのぶ by Routes

12.七色Happiness/宮本来夏 (瀬戸麻沙美) & 沖田紗羽 (早見沙織)

13.Just For You/ROUND TABLE

14.Let Me Be With You(new step mix)/ROUND TABLE

15.Pon De Floor (feat. VYBZ Kartel)/Major Lazer

16.もぎゅっと”love”で接近中!/μ’s

17.sweet&sweet holiday/Printemps〜高坂穂乃果(CV.新田恵海)、南ことり(CV.内田 彩)、 小泉花陽(CV.久保ユリカ)

18.Love.exe/桃井はるこ

19.AHEAD/さかいゆう

20.ほしのこもりうた/島白(よだれP)

21.夏色えがおで1,2,Jump!/μ’s

12/1 セットリスト

1,akon/lonely

2,teedra moses/be your girl

3,lionel richie/i call it love

4,craig david/rendezvous

5,nodesha/that’s crazy

6,mary j blige/real love

7,amerie/talkin’to me

8,swizz beatz/its me snitches

9,jay-z/99 problems

10,swv/right here

11,janet jackson/so excited

12,pitbull/bojangles

13,nick cannon/get crunk shorty

14,young gunz/friday night

15,eve/got what you need 2006 remix

16,jadakiss/happy to be here

17,montell jordan/this is how we do it

18,babyface/give you my heart

19,the brand new heavies/you are the universe

20,川村ゆみ/キミの記憶

新くんへ

お久しぶりです。お元気ですか?
突然こんな手紙を送ってしまってごめんなさい。
メールで伝えようかと思って送ったんだけど、エラーメッセージが戻ってきちゃったから、手紙に残ってた
住所に手紙を送る事にしました。
私、新くんに謝らなきゃいけない事があります。何度も謝ろうと思ったけど、ずっと言い出せないまま
11年も経ってしまいました。今更・・・って思うかもしれないけど、どうか最後まで読んでください。

新くんと付き合ってる間、私がピルを飲んでいたのを覚えていますか?新くんはいつもゴムを付け
たがらなかったから、それで私がピルを飲み始めたように思いましたか?
私ははじめ、ちゃんとゴムを付けて欲しいって言いました。でも、新くんは「いいじゃん」って、無理や
り始めました。実はあの瞬間から、私の中で新くんは敵になっていました。
それまで私は新くんの事が好きだったから、新くんのためにゴムを付けて欲しいと思って、それで何度も
お願いしました。新くんを傷つけたくなかったから。

私、HIV感染者なんです。新くんと付き合う前から。
だから人一倍そういうこだわりがあって・・・新くんの軽率な行動が許せませんでした。
新くんは私がピルを飲むと言ったら喜んでいましたね。私はピルを飲めば新くんが生のままで求めてく
ると思ったから、ピルを飲もうと決めたんです。新くんに、うつしたかったんです。
新くんに幻滅した後は、それが一緒にいる目的になっていました。

結局、3年近く一緒にいて、数えきれないほどエッチして、最後は新くんの心変わりで別れましたね。
あの時の彼女とは今も一緒にいますか?新くんの事だから、きっと今の彼女とも避妊はしていないので
しょうね。

いかがでしょう?そろそろ身体に変化が起きたりしていませんか?まだ早いかな。
一度、HIV検査を受けてみてくださいね。きっと新くんにはうつっていると思います。HIVウイルス
の感染力は弱いって言われてるけど、新くんは生理中にも求めてきたから・・・。

最後になってしまったけど、今まで隠していてごめんなさい。
それではお大事に。

浩子より

307 :本当にあった怖い名無し:2007/11/28(水) 22:29:17 ID:0f2zWikd0

  「こうして夜の海を黙って眺めていると……
  ずっと言えなかったことが言えるような、そんな気がしてくるものだな」
  「ずいぶんもったいぶった言い回しじゃないか、おまえらしくないぞ。
  わざわざ誘ったからには、何か話があるんだろ?」
  「……最初に言っておく。
  この話を聞き終えたらおまえは、きっとおれを海に突き落とす」
  「なんだよ藪から棒に。いいから話してみろって」
  「……子供の頃のことだ。
  ある秋の日の夕暮れ、おれは茜色に染まった浜辺で一人きり、
  ただただ波を見つめていた。
  ふと背後に誰かの気配を感じ振り向くと、そこには全身ずぶ濡れの女が立ちすくみ、
  青ざめた顔でおれを見つめていた」
  「…………」
  「女の様子にただならぬものを感じたおれは、無言でじりじりと後ずさった。
  『失敗だった』女はうつろな眼差しをおれに向けたまま、
  熱に浮かされたような声でつぶやいた。
  『あの子と共にいこうと思って、海に入ったけれど、駄目だった。
  あの子はいったのに、わたしだけが残ってしまった。
  どうしよう。わたし一人じゃいけない。
  ねえぼうや、一緒にいってくれる?
  ねえ、一緒にいってくれる?』
  そう言って、女はゆっくりとおれに手をのばした」
  「……おまえ、どうして……」
  「どうしておれが知ってるのかって?
  誰にも話したことのないはずの、おまえの過去の記憶を」
  「まさか……」
  「そうさ。あの浜辺に立っていたのは、おれの母親だったんだ」
  「嘘だ、そんな……」
  「だから、おれはおまえなんだよ。そして、おまえはおれなんだ」
  「じゃあ、あの時溺れたのは……」
  「早く突き落とせよ。でなけりゃ目を閉じろ。おれはどちらだってかまわないんだ、本当に」
  「…………」

  「……ねえ竹田くん、思い出せたら聞かせてほしいの。あの夜の転落事故のこと」
  「竹田? 先生、誰ですかそれ」

264 :本当にあった怖い名無し:2007/11/26(月) 00:02:25 ID:55JP0VX30

  竹田の入院を聞き、おれは見舞いに行った。
  予想外に大きな病院で、中でけっこう迷った。
  「よお、思ったより元気そうじゃん」
  病室を見つけたおれは、ベッドで本を読んでいた竹田に声をかけた。
  「ああ。心配かけたな」竹田は相変わらず素っ気ない。
  「いいってことよ。じゃ、これ食えそうだな」おれはケーキの箱を小卓に置いた。
  「サンキュー。じつはさ、なんで入院したのかよくわから……」と竹田が口にしかけた時、
  「失礼しまーす」と言いながら若い女の看護師が入ってきた。なかなかの美人だ。
  「お友達? こんにちは」と柔和な笑顔を見せる。
  「あ、ここのケーキ美味しいんだよねー。じゃあ竹田くん、ちょっとお熱計りますねー」
  美人看護師は竹田の脇の下に素早く体温計を差し入れた。
  何気なく竹田の顔を見ると……明らかに様子がおかしい。
  きつく噛みしめた唇はわななき、顔は青ざめている。
  急に具合でも悪くなったのか? しかし看護師は特に気にする様子もなく、
  「よし、平熱ね。じゃあ竹田くん、あとでまた来ますから。お友達とごゆっくりー」
  そう言って出て行った。

  「おまえラッキーじゃん、あんな美人がいて。……おい大丈夫か、顔色悪いぞ?」
  「……気づかなかったか?」竹田が震える声で聞いてきた。
  「え?」
  「あの女の動き方を見て、おかしいと感じなかったのか?」
  「なんのことだよ。おいまさか、あの美人がじつは幽霊、
  なんてオカ板並みにしょーもないオチじゃないよな?」
  「その方がまだマシだ……」
  「ん、どういう意味だよ」
  「……あの女、一日に何回検温に来ると思う」
  「そんなに多いのか」
  「それだけじゃない。そのたびに言うんだ。
  
  『迷いを断って、ふさわしい振る舞いをしてね』って。
  
  なあ、“迷い”って、“ふさわしい振る舞い”って一体なんだ?
  おれにはさっぱりわからない……」

  竹田は若干ノイローゼ気味なのかもしれない。
  あまり思いつめないよう励ましてから、おれは病室を辞した。
  帰りもまた院内で迷った。それにしてもやたらと大きな病院だ。
  まるで迷路みたいな。
  やっと正面入口に着くと、自動扉の手前に何かが落ちているのが見えた。
  おれが買ってきたケーキだ。ぐしゃぐしゃに潰されている。

  そしてその横には、「あなたはふさわしくありません」と書かれた紙が置かれていた。

102 :本当にあった怖い名無し:2007/11/17(土) 01:03:56 ID:80fAZDKd0

  竹田は無表情のまま、「この絵本、たぶん乱丁だぞ」とつぶやいた。
  ……乱丁?

  某巨大掲示板の「怖い絵本」というスレッドで、とにかく怖いと話題になっていた
  『暗いまちのかくれんぼ』という絵本に、おれはやけに強く興味をそそられた。
  探し回った末、ネット古書店で入手できたのだが……一読して首をかしげてしまった。
  たしかに絵も物語も風変わりで不気味だが、そこまで怖いか、これ?

  登場人物は幼い男の子一人だけ。
  舞台となる“暗いまち”で男の子はかくれんぼをしている。
  その町にはなぜか他に誰もいない。
  鬼なのか隠れているのかもはっきりしないまま、
  奇妙に暗示めいたオブジェが至る所に置かれた無人の町中を夢遊病のように
  さまよいながら、男の子はいつまでも一人きりの「かくれんぼ」を続ける……。

  「乱丁ってどの部分のことだよ?」おれは竹田に問いかけた。
  「ここさ。本来ならこのページが最後にあるはずなんだ」
  竹田が開いたページは町の広場に出たシーンだ。
  両手を空に向けて広げた奇怪な石像が無数に立ち並ぶ中で
  男の子が同じポーズを真似ている絵に、
  『こんなことしても やっぱりみつからないや』という文章。
  「文章は無視して絵だけを見てろよ、いいな」
  竹田は本を持ち上げるとページをめくり、男の子が

  『おわらない おわらない いつまでも』
 
  とささやきながら暗い路地裏へ入っていく最終ページの絵を
  おれの目の前に突きつけてから、はさんでいた指で素早く広場の場面に戻した。
  数回それを繰り返す。
  「ほら、わかるか?」
  さっぱりわからない。隠された絵柄が見えてくるとでもいうのだろうか。
  「どういうことだよ、説明してくれ」
  「わからないなら、説明しても無駄だ」と竹田はにべもない。かつがれているのだろうか。
  「竹田、もしかして……以前にも読んだことあるのか?」ふと思い至っておれは聞いた。
  「いや。ただ、ここに描かれている風景は見たことがある……
  ところでおまえ、なぜこの絵本をおれに見せようと思った」
  「え?」
  そういえばなぜだろう。思い出せない。
  「……ネットの書き込みって恐ろしいよな。知らずに人の行動に影響を与えたりする」
  そう言った竹田の顔は心なしか青ざめていた。

  その日の夜、「怖い絵本」スレッドに〈みーつけた〉という書き込みがあった。

599 :本当にあった怖い名無し:2007/10/22(月) 05:05:07 ID:+h0L2iEEO

 「ついに入手したぞ、本物のスナッフビデオ」
 昼休み、無駄話で時間を潰していたおれと竹田のそばに来るなり、
 津山は興奮気味にそうささやいた。
 この二人は幼なじみらしいが、リアリストと夢想家というか、まったくタイプの違うコンビだ。
 「はぁ?」竹田がすかさず眉をひそめる。
 「これだからホラーオタクは。前に説明してやっただろ。
 FBIの調査ですら、スナッフビデオの実在はついに確認されなかったんだって。
 都市伝説にすぎないんだよあんなもん」
 「いやいや、マジで本物なんだってこれが。なんなら今日の放課後、ウチ来る?
 見ればすぐわかるから」
 竹田はため息をつき、おれの顔を見た。

 どこか地下室のような場所。粒子の粗い画像の中で、手足を鎖で縛られ
 壁に張りつけられた金髪の白人女が、狂ったように泣き叫んでいる。
 そしてその前には、目と口だけが開いた黒いマスクを被り、
 唸るチェーンソーを抱えた巨体の男。
 男は執拗にチェーンソーの刃を女の身体に近付けては離すことを繰り返しながら、
 何か問いかけている。英語のようだ。
 やがてチェーンソーが女の頭上に振りかざされ、そのまま頭皮から下を切り裂いていく。
 飛び散る血しぶき。
 津山の部屋で問題のビデオを見つづけるうちに、おれはすぐに気がついた。
 「これ、カメラの移動とアップのタイミングが流暢すぎるよ。
 あらかじめ動作を予測してないとこういう風には撮れない。
 女もいかにも演技っぽいし。特撮はわりとよく出来てるけどね。残念ながら騙されたな」
 そう言ってちらりと二人の顔を見た。
 津山は無表情だ。
 竹田は顔から血の気が引いている。目を見開き、唇を噛み締め、
 食い入るようにしてじっと画面を見つめている。
 「おい、どうした?」おれは声をかけた。竹田は答えない。震えている?
 もう一度津山に目をやる。
 相変わらずの無表情だが、どこか冷たく笑っているようにも見える。
 いったいどうしたのだろう、二人とも。
 チェーンソーの刃が女の胸元まで食い込んだところで、ビデオは終わった。
 「おまえ、そろそろ帰れば」津山が突然おれに言った。
 「え?」
 「帰れよ、もう」
 竹田はうつむいたまま動こうとしない。

 部屋を出る間際、竹田がかすかに

 「never forgive me…」

 と英語をつぶやくのが聞こえた。
 聞き覚えがあった。

329 :本当にあった怖い名無し:2007/10/10(水) 01:28:19 ID:HerCFW4BO

 わたしと竹田くんが付き合うことになったのは三ヶ月前。わたしの方から告白した。

 竹田くんはちょっと皮肉屋さんな面があるけど、クールで頭が良くて大人っぽい。
 いわゆるモテるタイプとは違うけれど、ひそかなファンはクラスの女子にもけっこういる。

 ただ、わりに頑固なところもあって、
 特にオカルト的な事柄に関してはあからさまに嫌悪を示し、ムキになって否定する。
 「おれは心霊現象完全否定派だから」が彼の口癖。

 「いいか、よく考えてみろよ。仮に霊魂なんてものが存在するとしたら、
 なぜ人間の脳は認識や神経伝達を司るあれほど
 複雑きわまりない仕組みを持ってるんだ? 
 死んだ状態でも思考や意識が残るなら、そんな仕組みは必要ないはずだろ?
 それこそが、人間の精神が脳という器官によって産みだされた、
 肉体に付随するものだということを証明しているのさ。
 幽霊なんているわけがないんだよ。100%断言できるね」

 最初にそんな説を聞かされた時、なるほどその通りだなあ、
 やっぱり竹田くんは頭いいなあ、とわたしは思った。
 いまはそうは思わない。

 そんなことより、ここ最近竹田くんにどうしても伝えたいことがあって、
 あの手この手を使ってさりげなくメッセージを
 送っているんだけど、なかなか気付いてくれないので、
 とてももどかしい思いを味わっている。
 それとも、じつは気付いているのに知らないふりをしているのかな。
 竹田くんったら本当に頑固なんだから。そこが可愛いんだけどね。

 そんなところも含めて、いまでもわたしは彼のことが大好きだ。
 ずっと見つめていようと思う。

56 :本当にあった怖い名無し:2007/10/01(月) 02:09:37 ID:FiBLOQs70

 わたしの同級生で幼なじみの竹田くんは、赤ちゃんや子供をあやすのがすごく上手い。
 母親の腕の中で火のついたように泣き叫んでいた赤ん坊でさえ、
 竹田くんが耳許で二言三言何か囁いただけで、パタリとおとなしくなってしまう。
 ああいうのも一種の「才能」なのだろう。

 けれどもある日、不幸なことが起きた。
 竹田くんは親戚の赤ちゃんを預かって留守番をしていた。
 ミルクをやり、おしめを替えてから、彼は得意の子守歌を歌って聴かせてあげた。
 それを耳にしたらどんな赤ん坊だってコロリと寝ついてしまう、ちょっと魔法のような歌だ。
 だけどその赤ちゃんは、それから二度と目を覚まさなかった。
 乳幼児の原因不明の突然死。わりとあることだと聞く。決して竹田くんのせいではない。
 親戚も我が子の死を深く悲しみこそすれ、
 竹田くんのことを疑ったり責めたりなどしなかった。

 でも竹田くんはそれからおかしくなった。
 繰り返し自分を責め、「あんな歌さえ歌わなければ……」などと、
 何度も独り言を漏らしては激しく後悔している様子だった。
 べつに竹田くんの歌が死因となったわけでもないのに。
 竹田くんはだんだんと普段から上の空になり、日ごと憔悴していくように見えた。

 あれは中間試験の日、数学のテストの時間だった。
 問題を解くのに熱中して解答用紙だけを見つめていたわたしは、
 ふと違和感を覚えて顔を上げた。
 黒板の手前の教卓の上で、試験監督の先生が両腕に顔を乗せ突っ伏している。
 居眠り? まわりを見渡すと、右隣の小澤くんも、左隣の菅山さんも、
 廊下側のいちばん前の席にいる津田くんも、みんな同じように眠り込んでいる。
 わたし以外は全員……?
 いや。気がついて、わたしは窓側の最後列の席を振り返った。
 竹田くんがこちらを見ている。怯えたような、ほとんど泣きそうな顔をして。
 「違うんだ……そんな、そんなつもりじゃなかったんだ」震える声でそう呟いた。

 きっとそうなのだろう。ふと口ずさんでしまっただけなのだろう。
 たぶん彼に悪意はなかった。
 でも、だからこそ彼は、
 決してあの歌をあんな場面であんな風に口にするべきではなかったのだ。
 彼にそれを伝えられなかったことが、いまでもとても悲しい。

24 :本当にあった怖い名無し:2007/09/30(日) 02:35:56 ID:W8SMWax3O

 おれと竹田はちょっとした沼のほとりにいた。あたりはやけに静かだ。
 修学旅行の自由行動の時間、おたがいに自分の班から抜け出して適当にぶらついてたら、
 いつのまにかこんなところに来てしまったのだ。
 さざめく沼の水面を見ながら、おれはタバコに火をつけた。深く吸い込み煙を吐き出す。
 ふと隣りの竹田に目をやると、
 青ざめた表情でおれの指先のタバコを食い入るように見つめている。
 「どした?」おれは竹田に声をかけた。
 「……なあ、そのタバコ」
 「ん?」
 「味がしないだろ」竹田は切羽詰まった声で言う。
 「なんだって?」
 「するわけないよな。
 そもそも、タバコなんか吸ったことないおまえに、味がイメージできるわけないよな」

 竹田が何を言いたいのかさっぱり見えてこない。
 ……そう言えば、このタバコはいつ買ったんだっけ。

 思い出そうとしてみるが、なぜだか頭がうまく働かない。
 「なあ、そろそろ戻ろうぜ」おれは急に不安になり促した。少し寒気がする。
 「タバコどうした?」
 それには答えず、責めるような強い口調で竹田が聞く。
 「何が?」
 「さっきまで吸ってたタバコだよ。指先にはさんでただろ。どこに消えたんだよ」
 「さあ、どっかそのへんに投げ捨てたんだろ。何をそんなに怒ってるんだよ、竹田」
 
 「おれは認めないぞ……こんなの。いいか、いまでもおれは完全否定派だからな」
 「だから、何の話だよ」
 「あそこを見ろよ。そして、何も見えないと言ってくれ。お願いだから」
 竹田は沼の真ん中あたりを指差した。
 おれは目をこらした。水面下から黒いタイヤの表面が突き出しているのが見えた。

809 :本当にあった怖い名無し:2007/09/23(日) 21:35:23 ID:V0mKOnvT0

「出る」と評判の廃屋で、おれたちグループの中でもいちばん気が強く、
心霊現象完全否定派である竹田が夜に一人で肝試しをすることになった。
他愛ない雑談から、いつのまにかそういう話になってしまったのだ。
「やめといた方がいいって」とおれたち四人は引き留めたが、竹田は鼻で笑い、
「じゃあ、必ず約束守れよ。おれが一人きりで朝まであそこで過ごせたら、
おまえらはおれに二千円ずつ払う。もしおれが逃げ出したりズルをしたら、おれが
おまえら全員に二千円ずつ払う。証拠のハンディカムはちゃんと回しとくから」

『……っと、位置はこのへんでいいか。映ってるよな?
つーわけで、一人肝試しのはじまりはじまり。拍手~。
ハァ、朝までヒマだねしかしこれ。携帯もノートパソコンも駄目とは、自分で
言いだしたもののチト厳しい縛りだったかな。まあいいや。

さて、と。

このままボーッとしてるのもなんだからさ、ひとつおれが、そう霊なんか一切
信じてないこのおれが、とっておきの「怖い話」をしてやるよ。

おまえらのこと。おまえたち「四人」の話。

……おまえたち、まだ気づいていないのか?
違うだろ、本当はとっくに気づいてて、なのに知らないふりをしてるだけなんだよな。
……なあ、正直に言うよ。おれはいま、怖くてたまらない。
この廃屋がじゃない。おまえたちが、だ。おまえたちの視線が。
いま、こうして、おまえたち「四人」におれを見られていることが。
怖くて怖くて死にそうだ。ずっと前から。
…………
どうやら賭けはおれの負けだな。ちゃんと払うよ、六千円は』

結局、竹田はおれたちに金を払うことはなかった。ハンディカムの映像だけを
残し、あの夜に廃屋から出たあと、突然失踪したから。行方はいまだに知れない。

いまでもたまに、おれたち四人は竹田の残した映像を見る。そのたびに不可解な
気分にとらわれる。
いったい竹田は、おれたちの何がそんなに怖いのだろう。

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